黒田菜摘 くろだなつみ

俳優  ロンドン

自分の感情に気づきそれを適切に表現することや、人との交流が苦手だった20代の頃、「演劇で役を演じる」ということに出会いました。自分と同じように人間関係に戸惑い、泣いたり笑ったりいろいろする劇の登場人物たちに多くを教わりました。シェイクスピアの作品の中に、「この世は舞台、人は皆役者」というセリフがあります。舞台上で演じることも現実を生きることも、凝縮度こそ違え、実は同じなのです。そう考えると、現実という舞台で難しい状況に追い込まれたときに客観的に解決の糸口を見つけること、そしてすべての人間関係には終わりがあり、「今ここ」で「この人」といる幸せや大変さを、遊び心を持って尊ぶことに気づきます。(劇は英語でplay、遊び心はplayfulnessです)。その感覚を思い出すために人は劇場に足を運んだり映画やテレビドラマを観るのだと私は思います。

約10年間、小劇場をはじめミュージカルや小学生高校生向けの全国旅公演などに出演したのち、イギリスのエセックス大学大学院(East15 Acting School MFA Acting)で改めて演技の勉強をつみました。西洋では「演技(acting)」とは、人間関係と感情を扱う芸術です。対立よりも調和を重んじ、舞踊や語りといった素晴らしい伝統のある日本で、役同士の対立葛藤で成り立つ「演技」への人々の理解が少しずつ広まるといいなと思ます。

才能のある芸術家のためのイギリス就労ビザを取得し、現在はロンドンに拠点を置いて活動しています。

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